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20歳になったあたし。22歳の彼。
俳優同士2歳差の恋。
ぎゅっと抱き締められながら、見えない山内くんの告白を聞く。
「辻谷アナさんに指示されて動いてた。彼女は水野裕太に片想いしてたから、お互いの考えが一致した」
あたしの所属していたアイドルと仕事上の付き合いがあるからと、ラインにその名前があっても不審に思わなかった。
「一方的な想いのままあたしといてツラくなかった?」
今思えばわかるよ。あの優しい眼差しも、あたしにだけ見せ続けた寝顔も。
あったかい温もりが離れていく。後ろを振り向いたら悲しそうに笑っている山内くんが、あたしの前髪を上げて、デコピンして。
「決めつけはよくない。行ってきて、アッキーの気持ち伝えてこんと」
片想いはツラいんやでって微笑んでさ。その指先は微かに震えてた。
「俺はどっちに行こうともこれからも同士だからな?」
握りこぶしを付き合わせることはまだできない。気持ちにちゃんとこたえたいから。
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