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この後俺も練習があった。スタジオに着くと扉越しにみんなの笑い声が聞こえた。乾かしてきた涙が、再び溢れそうになる。
それを必死に我慢して、何食わぬ顔で中へ入る。
「お、波瑠〜!おつかれ〜」
那月ちゃんが手を上げて俺を迎えてくれた。ついでに俺が好きな飲み物までくれた。
「何?微妙に優しいのがちょっと怖いんだけど〜」
「失礼な。私はいつも優しいですーっ!」
「波瑠!十分遅刻だぞ」
「ごめんちゃい」
ギターを置き、息を吐きながら座った後、俺は報告した。
「たった今、失恋してきました」
それを聞いて、孝則君と綿谷は「どんまい」と言った。
どんまい⁉︎どんまいって、この人たち酷くないか?俺、目腫れてるし絶対なんでかわかるよな?もっと他にかける言葉あるだろ。クソ野郎ども。
けどなんか、おかげで悲しい気持ちも薄れてきたわ。
「波瑠、練習終わったら、今日俺ん家集合な」
ドラムを叩きながら、孝則君が俺を見る。
「えー、俺今日めっちゃ疲れてるんだけどっ」
「駄目だ」
「はい?」
「みんなで鍋するぞ」
「鍋賛成!」
「鍋かー。熱くない?」
文句ばかり垂れるオレを一瞥し、孝則君は立ち上がってこちらへ歩いて来る。そして俺の頭を嫌がらせみたいにガシガシ撫でた。
「今日はしてやる。膝枕」
「い、いらねーし!」
悔しいけど、ちょっとだけ涙出た。リトルノイズの一員でほんとによかった。
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