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転校生
俺、香野 純平が、まさに運命の相手と言うべき人物に出会ったのは、小学校の時だった。
確か、小3の時に転校して来たんだよ。
やたらとでっけえ豪華な家に住んでて、ちょっとお高くとまってる感じで、はじめはいけすかねーなあ、って思ってたっけ。
なんで家なんか、って。
登校班が一緒だったからだ、つまりはご近所さんってわけ。
幼い子供には似合わない、幅の狭い二重の瞳はいつだって鋭くて、なに睨んでんだよ、なんて、つい言っちまったこともある。
だけど、そいつの周りにはだーれもいなくって。
授業は真面目に受けてる癖に、グループ学習は机に伏せて眠ってる。
頭も良くて先生によく褒められるのに、機嫌悪そうにあしらって、可愛げがないって言われてた。
休み時間もたいして楽しそうじゃないし、ぼんやり教科書に落書きしてるだけ。
どういうわけだか、俺はそいつが一人きりでいるとやたらと気になって、ちょっかいを出したりしていた。
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