さようなら玲香先生

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「れいな、あきえ、あやか、さちか、ゆうか、のぞみ」 怜陽は頭に浮かんだ、病院のスタッフの下の名前を呼んでみるけど、娘は起きているのに、何の反応もしなかった。 「れいか」 と言った瞬間、今まで横を向いていた娘が、怜陽の顔を見る。 「えっ……」 「じゅんこ、えみ、ひとみ、れいか……えっ?」 また玲香と言ったときだけ、反応があった。今度は笑ったのだ。 「まさか、聞こえてるの?」 「たぶん。それにこの子、玲香先生が成仏した日に授精した子だよね?」 「それは……」 「私は生まれ変わりじゃないかって思ってる」 玲奈は真顔で怜陽を見つめる。 「そんなバカなことある?」 「私はあると思う」 玲奈はジッと見つめて頷いた。 「ねぇ、二人とも、晩御飯できたわよ」 秋絵に言われて、二人はダイニングチェアに腰掛ける。 その時、ベビーベッドの上の娘が、ニヤリと口角を上げたことに、誰も気がつかなかった。 了 ご愛読有難うございました。  2024.1.8 葛西竜哉
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