さようなら玲香先生

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「いやいやいや、それはダメだって言ったじゃん」 怜陽は即座に反対の意思を示す。 「何でよ?」 「いや、だって、玲香っていうと、どうしてもあの人のことを思い出しちゃうだろ」 「じゃあレオくんは、玲香先生のことを、記憶から消しちゃいたいの?」 玲奈が怜陽に詰め寄った。 付き合い始めてから今日まで、玲奈が怜陽の言うことを、否定したり批判したことは一度もない。 「いや、そういうわけじゃないけど」 「だってこの子が、玲香って名前を望んでいるんだよ」 「えぅ、どういうこと?」 「嘘だと思うなら、色んな名前で呼びかけてみて」 玲奈は娘の方を見る。 「名前って?」 「女の子の名前。色んな名前で呼んでみてよ」 玲奈に言われて、怜陽はベビーベッドの前に立った。
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