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 亜蓮に肩を突かれ、灯里は我に返るように瞳を開けた。  そこは鎮守の杜の奥深く。  花蓮の遺体を埋めたそば、そして村の秘跡、蜘蛛神の滝が見える場所だ。   「……ああ」  まだトランス状態に近く、ぼんやりする頭を振って、灯里は亜蓮が誘うまま、蜘蛛神の滝の方へ歩いた。    蜘蛛神の滝の下には、滝つぼより暫く進んだ先に、半径三十メートルほどの円形の窪みがある。そこにひとまず滝からの流水が溜まり、溢れた水が下流へと流れる構図になっていた。  図書館で読んだ本のコラムでは、このクレーター状の窪みが、昔宇宙船の飛来を象徴しているとの記載があった。  そして今、そのクレーターの中央から立ち伸びる円柱の光を見れば、その推測は正しいものように思える。    近づけば近づくほど、夜だというのに昼かと思うほどに眩い光。  蛍光灯の光やLEDの灯とも違う、柔らかで伸びのある清らかな光は、辺り一帯を清浄な異空間へと変容させていた。水しぶきは七色にキラキラとダイヤのような輝きをまとって跳ねて、その一粒一粒が愛らしい小さな妖精のようだ。 「これが亜蓮くんの言うゲート……?じゃあもしかして、ここに入ったら、その、どこでもドアみたいに、向こうの星にワープ出来るの……?」
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