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でも、おばあちゃんの場合は、その内容をよく知らなかったのだろう。
説明があったのならば、もっと土蜘蛛とその花嫁のその後について、理解を深めてくれていたはずだ。
おばあちゃんは、花嫁は土蜘蛛に食われると思い込んでいたようだけれど、それは偽りの古文書の文を信じたからだけじゃなく……もしかしたら、この自分が行った儀式の異様さに、何か普段と違うものを感じたからかもしれない。
異様さ。うん。これは、この空気は確かに異様だ。
それほど寒くもないのに、背中の鳥肌が止まらない。
恐怖というよりは畏怖。
別次元を覗く怖さ。戻って来れない異界に踏み込むような。
まるで『死』の向こうに魂を送るような感覚―――――………。
「――――――――………………!!!!!」
地球の言語ではない言葉で、基子が声高らかに何かを宣言したように顔を上げた。
見開いた瞳が天を向く。
するとそれと同時に、亜蓮と灯里がいる場所のすぐ近くから光の柱が出現した。
神々しい光の柱は円柱状で、滝の底から天へと貫くようにまっすぐ立ち昇っている。
「……よし、ゲートが開通しました。灯里、行きましょう」
「え……っ」
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