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15 竜核のありか
結局その日は、ユキカたちが取っていた宿屋に泊まり、翌日、評議会の宿舎に置いていた荷物を取りに戻った。議事堂の脇の厩舎に預けていた駆竜リースと白狼メルーも連れて宿屋に戻り、ロイツは体内の麻酔が完全に抜けきるまで部屋で休んでいた。
その間、ユキカたちは忙しく働いていた。おそらくリーメル人諸国内で王宮と同等くらい警備が厳重な公文書館の最奥へ忍び込むための準備が、着々と進められた。
一日目の夜、ユキカたちは締め切った部屋の中で日中集めた情報を整理した。
「どういうわけか、評議会が運営している施設の警備が減らされてるみたいだね」
見取り図や資料を広げたテーブルを囲って、報告がはじまった。
センリは公文書館の見取り図を中央に置いた。見取り図には、館内の防犯設備や時間帯別の衛兵の配置、職員の日中の動きなどが、細かく記されていた。
「特に公文書館の警備は少ない。文書を保管している収蔵庫は、通常なら周囲に二十人ほどの衛兵が配備されているのに、いまは扉の前に五人しかいないみたい」
フリネがそれに続いた。
「調べてみたら、すべての施設の衛兵の大半が、都市や、周辺の集落の守備に回されたみたい」
見取り図を眺めながら、ヤヒメとユキカが頷いた。
昨日、ヨスガに身体を乗っ取られたヤヒメは、いつのまにか評議会の重要施設へ侵入することが決まったことに驚愕したが、それがヨスガの予感によるものだと聞いて、あっさりと納得した。
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