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玄関のドアを閉めて振り返ると、栞がニヤついてこちらを見ているじゃないか。
「ちょっと、覗かないでよ」
「二人、超仲良しだね。ねー、ツン沢の用って何だったの?」
「さぁ……もう済んだって。何だったんだろう」
首を傾げていると栞がフフッと意味ありげに笑った。
「ファイト、ツン沢」
「……私の応援してよ」
「いいの。ねー、もう付き合っちゃえば?」
「そんな簡単じゃないよ。……滝沢君モテるし」
「あーあ。ファイト、ツン沢」
「だから私の応援してってば」
「いいの。お姉ちゃんはツン沢の話ちゃんと聞くんだよ。……ねー、それで二人でどこか行った? どうやってデートに誘うの?」
栞は目を輝かせて前のめりで私に詰め寄る。どうしても聞きたいらしい。
「もう、なんでそんなに聞きたいのよ」
「うーん……参考にする」
「参考にって……あ、もしかして栞、好きな人いるんでしょ」
ニヤニヤ笑って栞を見ると、栞はポッと頬を赤くした。
「私のことはいいの! ……どうせ無理っぽいし」
ちょっとしょんぼりする栞の頭をポンポンと撫でた。
「後で栞も話してくれるなら話す」
「わかったから。でも本当に無理っぽいの」
「それなら余計に話して。ね?」
「うん、ありがとう」
ちょっと照れた栞を愛おしく思いつつ、私は話し始めた。
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