6. 6年越しのバトンパス

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 玄関のドアを閉めて振り返ると、栞がニヤついてこちらを見ているじゃないか。 「ちょっと、覗かないでよ」 「二人、超仲良しだね。ねー、ツン沢の用って何だったの?」 「さぁ……もう済んだって。何だったんだろう」 首を傾げていると栞がフフッと意味ありげに笑った。 「ファイト、ツン沢」 「……私の応援してよ」 「いいの。ねー、もう付き合っちゃえば?」 「そんな簡単じゃないよ。……滝沢君モテるし」 「あーあ。ファイト、ツン沢」 「だから私の応援してってば」 「いいの。お姉ちゃんはツン沢の話ちゃんと聞くんだよ。……ねー、それで二人でどこか行った? どうやってデートに誘うの?」 栞は目を輝かせて前のめりで私に詰め寄る。どうしても聞きたいらしい。 「もう、なんでそんなに聞きたいのよ」 「うーん……参考にする」 「参考にって……あ、もしかして栞、好きな人いるんでしょ」 ニヤニヤ笑って栞を見ると、栞はポッと頬を赤くした。 「私のことはいいの! ……どうせ無理っぽいし」 ちょっとしょんぼりする栞の頭をポンポンと撫でた。 「後で栞も話してくれるなら話す」 「わかったから。でも本当に無理っぽいの」 「それなら余計に話して。ね?」 「うん、ありがとう」 ちょっと照れた栞を愛おしく思いつつ、私は話し始めた。
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