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第八話 ネズミ大作戦
王妃は、明日にでも応援が来るのに、姉に何と手紙を書こうかと机にしがみついておいででした。
兵が来たら、甥を逃がせばいい、こんなものかいてるよりもしなければならないことがあるのでは、と考えておいでです。
「チュウ」
ん?
チュウ、チュウ、チュウ・・・・・!
ギャーーー!!!!!
誰か、誰かおらぬか!
王妃の部屋にはエサがいっぱいおかれています。
掃除で入った女中たちが、ベッドの下へ掃除したものを入れ、下働きの者たちが入ると掃除したゴミを家具の裏に隠します。人なんて見ていませんからね、みんな知らんふりで繰り返していたことのようです。
それはある人達からしっかり聞いていました。
「失礼、うわー!なんだこれは!」
「は、早く何とかして!」
部屋の中には足の踏み場もないほどいるネズミがドアが開いたことで一斉に部屋から飛び出しました、それでもなお、煙突の穴からネズミはあふれてきます。
「チュウ」
「ん?」
チュウ、チュウ、チュウ・・・・・!
「うわー!なんだこれは、エディッシュ!誰か!誰かおらぬか!」
王宮の中はパニックです。
そのどさくさに紛れ、王妃を部屋の外へ出して、そして彼女が隠しているものをすべて外へ出そうとしました。
でも王妃は高い所へ駆けあがりぶるぶる震えています。部屋から出られないのです。
何かを隠しているのでしょうね。
このどさくさにまぎれ、王妃のお付の者たちを次々捕まえていきます。
あー、ネズミがかじってしまった。
外へ捨てようとすると。
「キャーそれはダメ、やめて!」
あー、ドレスがかじられて。
「いやー捨てちゃダメ―!」
うわー引き出しの中もネズミだらけだー。
「あけないで―!」
「すべて外へ投げ捨てよ、病が広がるぞ、外へ、ふんをしておる、皆外へ!投げ捨てろ!」
部屋の中のものが外へ捨てられても何も言えません。
彼女は、自分のお付の者たちの名前を呼びますが、誰一人返事をしません。
その下ではある者たちがせっせとそれを別の場所に運び出していました。
そしてやっと静かになったころ。
「誰かおらぬか?」
しんとした王宮内。
誰か?誰もおらぬのか?
どさくさに紛れ、全ての人が王宮から出されました。
王妃は下へ降りてきて、外をみました。
は?
どうしたことだ?何もないではないか!
王妃はあちこち見て歩きますが誰もいません。そして何もありません。
そして捕まったという甥のベサーチュの部屋。
「は?何もないではないか?部屋を間違えたか?」
ここもすっからかんです。
開けなくてもいいクローゼットを開けた、その時です。
「ぎゃ、ぎゃーーー!!!」
物凄い叫び声、王妃は動けません、そうここにも鼠がいて、溢れるように流れ出たのです。
だ、誰か、誰かおらぬか!
王妃はあちこち見て歩きますが誰もいません、そして嫌いな王様の部屋の扉を開けると、そこには。
「ひーーー!」
王妃は腰を抜かしました。
大きく描かれたネズミと、ル・ラータ参上!の文字。
そこへ王様が入ってきました。
「なんだこれは!」
部屋中ネズミが通ったので真っ黒です。
腰をぬかした王妃も真っ黒。
いやそうな顔を向ける王様。
「このものを北の塔へ」
「へ?北の塔?」
「誰かおらぬか?早く連れていけ!」
「え?いや、あそこだけは」
王様はふんと鼻を鳴らすと部屋を後にしました。
さあ王妃様。
いやャー――!
「落ち着いたら、メルクのものどもと実家に帰れ!」と遠くから声が響いて降りました。
「いやー!」
あまりに抵抗する王妃。
「死んでも構わぬ、私の前から消せ」
はっ!
王妃はずるずる引っ張られて行きます。
「いやー!お願いあそこだけはいやー!」
王妃の叫び声がいびきわたっていました。
やりー!
やったー!
「早くずらかるよ」
子供たちも屋上から消えました。
私たちもあることを聞きつけ準備に取り掛かります。
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