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「付き合ってはないよ。……まだ」
(まだ!?)
そう答えたのは、懐くんだった。
そしてクラスの全員が私と同じことを思ったはずだ。
「ただ俺が……一方的に好きなだけ」
(す、好き!!!!)
「……これでいいかな?」
そう言って、私に伺いを立てる懐くん。
ますますはわはわのタジタジになって、探した口の形。
「ちょ、ちょっと待って! 大切な主語が抜けてる――」
やっと言葉になって、慌てて説明を足そうとしたが、それも、
「やだぁ!!!」
「素敵ぃぃ!!!!」
悲鳴を上げる女子たちにかき消された。
「懐くんの一目惚れってこと!? 春希ちゃんに一目惚れしたの!?」
「やだぁ、もう、こんなストレートに好きって言ってくれるなんて……素敵―!!!」
「あの、ちが、ちょっと待って……っ」
もはやもう、誰にも届かない私の言葉。
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