私の前では夫はいつも不機嫌

64/88
501人が本棚に入れています
本棚に追加
/88ページ
大輝さんと鈴のところに戻りたい。もう一度家族に戻りたい。身勝手な理由で真美さんの嫌がらせはどんどんエスカレートしていった。無言電話に匿名の手紙。大輝さんの会社に連絡してきて上司に弟の妻と不倫しておいてなぜ私が養育費をはらわないといんだ。おかしいと涙ながらに訴えたり、かと思えば大輝さんに罵声を浴びせたり、金を払うなら止めてもいいと言われたけど拒否したら、SNSにあることないこと暴露され誹謗中傷され、顔はモザイク加工がされているけど私の下着姿などがアップされるようになった。康介は真美さんのいいなりだもの。撮られていたことにさえ気付かなかった昔の私のプライベートな写真まで晒され愕然となった。 そして一番恐れていたことが起きた。 朝の十一時過ぎに鈴の担任の先生から電話が掛かってきた。 ー休み時間に校庭で遊んでいた鈴ちゃんに女性が近付いてきて。腕を掴んで無理矢理連れていこうとしたんです。まわりにいた児童が近くにいた先生や、職員室に助けを求めて、何とか引き離したんですが……ー 「すぐに行きます」 ーでも今は無理をなさらないほうがいいんじゃないですかー 「主人に連絡してみます」 仕事中は電話が繋がらないから会社に掛けるように言われていたから、電話を掛けようとしていたら瑠花さんから電話が掛かってきた。 「瑠花さん………」 ーどうしたの?何かあった?ー 「鈴が……鈴が……」 パニックになっていて呂律が回らなかった。 ー 一回深呼吸して。ゆっくりでいいよ。今日授業参観日だから休みをとったのよ。鈴ちゃんは私と仁志さんで迎えに行くからまゆさんは動かないでいいよー 「瑠花さん、ごめんなさい」 ーなんで謝るの?謝らなくてもいいのよ。悪阻が酷いって大輝さんから聞いていたから心配でそれで電話をしたの。ちょうど良かったー
/88ページ

最初のコメントを投稿しよう!