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人と違うところ
私は昔から変なものが見える人間だ――
例えば、風船のようにパンパンに膨らんだ狸に、尻尾が二本のススキになった狐。
はたまた、形容し難いホワホワした綿毛のような生き物とか、頭に花が咲いたトカゲとか……私の視界には常にそんな存在がうろちょろしている。
生まれてからずっと、そんな生き物たちに囲まれて育ってきたが、普通の人とは違う世界が見えていることは、両親を除いてあの時以来誰にも言っていない。
小さい頃はその不思議な存在を追ったり、怖がったりしていたせいで周りから「この子は少々変わっている」認定をされていた。だから、友達もいなかった。
私が完全に他の子とは違うんだ。自重しなければと自覚したのは、幼稚園の年長さんの時だ。みんなに人気者だったあいりちゃんの髪飾りがなくなったのだ。
犯人は分かっていた。だって、ずっとアレが狙っていたから。
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