悪魔の子

11/30
100人が本棚に入れています
本棚に追加
/142ページ
つまり、先ほどまでこの部屋で一緒に食事をしていた研斗も、その男の息子ということになるのだ。幸守は開いた口が塞がらなかった。突然その衝撃的過ぎる事実を突きつけられてしまっては無理もない。そんな彼に左門寺は、「これは昔話だと思って聞いてほしい______」と言って、これまで語らなかった自分の過去を話し始めたのである。 「あれは僕がまだ小学生だった頃の話だ。その日はクリスマスで、父は一家団欒を過ごそうと言ってくれてね。ケーキやプレゼントを買ってくれていた。母も腕に寄りをかけて料理を作ってくれた。豪華だったことをよく覚えている。そんな時、家に警察官が訪ねてきてね。勝手に家に上がり込んできて、家の中のものを物色し始めたんだよ。今となってはわかることだけど、あれは家宅捜査ってやつだった。母はひどく怒っていたのを覚えている。怒鳴り声を警官に向かって張り上げていたよ。それとは反対に、父はえらく静かだった。それが捕まることを悟ったからなのか、はたまた動揺していたのか、それともまだ自分は捕まらないと思っていたのか、正直なところ僕にはわからない。でも、父はその時、何も言葉を発せず、そのことにも母は怒っていたよ。それで、父がよく使っていた地下室から、人間のものと思われる内臓やら目玉やらがたくさん出てきてしまってね。それについて警官に問われた時、父はにっこりと笑って、私が殺した人たちのものですって答えたんだよ______」 彼は訥々(トツトツ)と話していく。まるで物語を読み聞かせるかのように______。
/142ページ

最初のコメントを投稿しよう!