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「落合和美は相変わらずホストクラブに入り浸ってるようだ。No.1ホストのツバサに入れ込んで、かなり貢いでるらしい。お店のツケも相当な額になってる。そのうち身動きが取れなくなるだろうな」
「狙い通りね」
「あぁ。永瀬浩二のほうも、あと一押しだな。地獄への落とし穴はお膳立てしてやった。背中を優しく押してやれば、真っ逆さまに落ちるだけだ」
優希が何気なく口にした言葉に、呼吸が浅くなる。
『背中を優しく押してやれば、真っ逆さまに落ちる』
それはまさに、あの日のことじゃないのか?
一つだけ違うのは、私たちの立場が逆転しているということ。
「どうした?具合でも悪いのか?」
慌てる優希の様子から、かなり顔色が悪いのだろう。
ひどい寒気がするので、自分自身を抱きしめる。
「違うの…ちょっと、色々あって」
「怪我したことと関係があるのか?」
「それは…」
「おい、まさかっ」
ガタッと立ち上がった優希は、これまでに見たことがない険しい顔をしていた。
「あいつにやられたのか?」と、今にも殴りかかりに行きそうな雰囲気だ。
代わりに怒ってくれる人がいるだけで、こんなにも救われるのか。
そうだ、私はもっと怒るべきだ。
優希のように怒りを爆発させなければいけないのに…。
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