1人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
お客1
霧の夜 1人の女性がたどり着いたのは
木々に囲まれたレンガ造りの2階建て
看板には『眠れる森のカフェ』
カランとドアの上にあるベルがなる。
店内は70年代を思わせる純喫茶店みたい
正面にカウンター、右側には4人かけテーブルが3つ、左側には長いソファーとテーブルが3つ、右側の奥にジュークボックス
ソファーの奥にトイレ
カウンターの反対側はキッチン、黒髪オールバックの50代のマスターが賑やかに
「いらっしゃいませ。カウンターにどうぞ」
マスターの前、真ん中の椅子に座る女性は
20代前半
黒髪ロングヘアーで白い半袖のTシャツ、
青いジーパン、黒いスニーカー、バックなし手ぶらである。
「あの、私お金なくて……気が付いたらカフェ見付けて……」
「お金は大丈夫ですよ。何か飲みますか?」
マスターの左側でお皿洗ってたバイトの女性
こちらも20代前半、黒髪ショートヘア
マスターもバイトも白い襟シャツ、黒いスラックスに黒いスニーカー、そしてブルーのエプロン
「私のおすすめの紅茶はいかがですか?
隠し味は2滴のブランデー」
明るいマスターがブランデーを見せる。
「は、はあ、お願いします」
しばらくするとホットの紅茶が出てきた。
「いただきます」
ほのかなブランデーの香りと紅茶の香りが混ざり、なんだか気分が落ち着く。
「静かですね」
女性は店内を見回す、お客は自分1人
「曲ならジュークボックスで選べますよ!」
バイトがジュークボックス指差す。
「えっ、使い方わからないから」
遠慮する女性
「騒がしい日常、繁華街の雑踏、液晶ディスプレイの声や曲、車のクラクション、満員電車、アナウンス、今は忘れてください」
マスターは賑やかにそう言って手作りクッキーを出した。
クッキーを食べ紅茶を飲む、店内に聞こえるのはコーヒー豆を引く音、洗い物する水の音
どこからともなく、1匹の黒猫がカウンターの上を歩いて女性に近づく
「こら、クロエ、カウンターに乗ったらダメでしょう?」
バイトに注意される黒猫クロエは無視して歩く
「可愛い、おいで」
女性はクロエの頭を撫でるとすり寄って来る
ご機嫌のクロエ
「男の子?女の子?」
女性が聞くと
「僕はオスだよ2歳」
クロエが人の言葉を話し出した、驚き顔が強張る女性
「あ、ここは、夢、そう夢の世界だから、ね!だから、喋る猫がいるの!」
あたふた慌てながら説明するバイト
「あ、ああ、夢!そうよね、夢よね?
変だと思った、霧の夜にカフェがあるから」
納得した女性とバイトがクスッと笑った。
最初のコメントを投稿しよう!