19人が本棚に入れています
本棚に追加
/92ページ
第7話 大事な決断
いよいよ、臨時株主総会の決議に入った。
「第1号議案、ご承認いただける方は挙手をお願いします」議長を務める社長が言った。
九割程度の人が手を挙げた。後藤さんも、もちろん私も手を挙げた。
その様子を見て社長が直ぐに「ありがとうございます。賛成多数で本議案は承認されました」と言った。
「次に第2号議案、ご承認いただける方は挙手をお願いします」
7~8割程の人が手を挙げた。後藤さんは手を降ろしたままだった。97番の人も手を上げなかった。それ以外にも手を挙げていない株主をパラパラと見かける。おそらく後藤さんと同じような考えを持っているのだろう。
そして・・・、私は手を挙げなかった。
庄司さんの資産を減らしちゃうな、きっと。『美穂ちゃん、ごはん食べに行かない?』そう言ってニコニコと微笑む庄司さんの顔が目に浮かんだ。
『庄司さんごめんなさい。私は第三者割当しない方がいいと思う』そう心で呟いていた。
今度は少し時間が掛かっていた。数人のスタッフが挙手の状況を確認している。そして、責任者と思われる人が議長(社長)に耳打ちした。
最初のコメントを投稿しよう!