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そうだ。
なぜ俺は走るのか。
競輪選手だから走るんじゃない。
走りたいから競輪選手になったのだ。
新庄よりも、そして本当は西郷さんよりも。
誰より速く、誰より前を走りたいから。
その為に、脚力よりも大切なもの。
他の競技にも……いや、人生の中で何かをする時にきっと必要なもの。
認めるよ。俺が無くしていたものを。
だからどうか、これからもよろしく。
俺の────
☆
「やれやれ、来年はまた敵同士かな、新庄」
「ええ西郷さん。嫌な奴が戻って来ますからね」
「ふっ、嫌な奴?その割にお前、嬉しそうだぜ」
モニターの前で笑う、二人の屈強な漢達。
「まったくあの野郎、しゃきっとしやがれってんだ」
そして。
「竜崎選手!復帰後初優勝!しかも完全優勝ですね!おめでとうございます!」
そして、竜崎選手の快進撃が始まる。
その幕開けの今日、久々に。
「私、実はずっと竜崎選手推しなんです!もう嬉しくって!」
「ええっ?いやあの、えっと」
勇者は、酷く赤面した。
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