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「今日は街での占いの日だったな」
「はい。今日も満員御礼です」
リディは不定期ながらひっそりとあの占いの店を続けている。
もちろん変装しているので王妃が占い師をやっているとは誰も気づいていない。
ただ貴族の顧客も多く、占いで色々な事情が見えているのでたまにその情報を使って政務を円滑に進めたりはしている。
「リディの占いは当たるからなぁ。色々助かってるよ」
「私は助言だけですよ。決めているのはルシアン様ですからルシアン様の采配です」
リディの言葉にルシアンの目元が柔らかいものになる。
そして手を広げてリディに来るように促した。
紅茶を淹れている最中ではあるが、ルシアンの誘いを断ることもできず、リディはいつものようにルシアンの胸に体を預けた。
ぎゅっとルシアンの腕がリディを抱きしめた。
そして軽くキスをしてくる。
「ん…」
「ふ、ようやく仕事が終わった気になるよ」
もう何度もキスをしていてもその度に気恥ずかしくなってしまうのだが、その様子さえもルシアンは幸せそうに見つめてくる。
その笑顔を見るとリディも嬉しくなるのだ。
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