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「美々さんは十刻くんとお知り合いですか?」 「うん、そう」 「もしかして、恋人さんとか?」 「そうだけど?」 「やっぱり! お似合いだなって思ったんです」 「そ、そうか?」 美々は少し照れくさそうにそう告げると、心はこんな風に話をしてきた。 「私も最近アルバイトを始めて、毎日好きな人と働けるようになったんですけど… 恋人としてはまだまだ未熟なんです」 「…ふむ、つまり? 恋人としてレベルアップしたいが照れくさいって事か?」 「そ、そうなりますね」 「相手は年上なのだろう? 経験が上なのは致し方ないだろう」 「え? 何故年上って?」 「あ、嫌? 喫茶店だから雇い主かと考えた結果だ」 「なるほど! 美々さん、探偵さんみたい」 「まあ、アドバイスとしては焦るとろくな事にはならないって事だ。 心はまだ若いんだから焦るな」 「…!」 「な、何だ?!」 「美々さん、何か大人でかっこいいです! お友達になってくれませんか?」 「…う、うむ。 いいだろう」 美々はそんな風に承諾してしまったが、一週間後には猫に戻ってしまうのが現実だ。 「私、猫神様を信じてるんですが… 中々お会いできなくて残念です」 「ふぅん? 心は迷信が好きなんだな」 「はいっ 不可思議な事は興味が湧くんです!」 「そうか… 猫神とやらに会えると良いな?」 「でも、会えたとしてもお礼を言いたいだけなんです」 「礼?」 「素敵な彼氏が出来たので、そのお礼です」 「…それは猫神とやらのお陰じゃなく神様じゃないのか?」 「まあ、確かにそうですが… 猫神様も見守って下さってる気がするんです」 「そ、そうか」 美々がまさかの考えに驚いていると、夕弦が蔵に入ってきた。
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