失恋百回記念日

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折山美咲、二十九歳。身長百七十センチ、K大学の医学部を卒業後、某総合病院で産婦人科医として働いている。髪型はショートカットで世間一般では美人と呼ばれる部類の顔立ちの持ち主である。 そんな才色兼備という言葉が相応わしい彼女は今、とあることに悩まされている。それは何かと言うとーーー。 「すみません。僕はあなたとは合わないかなと思ってしまって……。本当にすみません」 「いえ、大丈夫です。慣れてますから」 結婚したいという気持ちがあるというのに、男性から振られてしまうことである。 仕事だけを頑張って生きていた美咲だったが、ある日県外に住んでいる母から電話があった。それは、近所に住んでいる大学を卒業したばかりの女性が結婚するという話だった。 「しかもお腹の中に赤ちゃんがいるんですって!いいわね〜、赤ちゃん!私も孫の顔が見たいわ」 そんな風に母に言われ、美咲は婚活をしてみようかと結婚相談所に登録したのだ。母は美咲が小学生になる前に父と離婚し、女手一つで美咲を育て、学費のかかる医大にも行かせてくれた。その恩もあったからかもしれない。
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