大量の不法投棄

1/2
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ

大量の不法投棄

 不法投棄のパトロールは基本的に十六時までとしている。それを過ぎたら市役所に戻り今日一日の作業内容をまとめてまさみさんに提出する。それが終わると十七時まで待機して終業となる。残業はしない・させないが建前となっている以上、臨時職員には絶対に残業させてはならないからだ。  今は六月、梅雨入りしてしばらく経つが、今年は雨の日が少ない。そんなある日のこと、帰所時間となる十六時直前に私は大量の不法投棄ゴミを発見してしまった。この場合は一旦タブレットにて画像をまさみさんに送信し、後日その量に応じて複数人の職員で回収に当たることとなる。  急斜面の二~三メートル付近に散在しているその袋は、ざっと数えても十袋は下らない。しかも一つの大きさが直径にして五~七十センチはある。斜面は五メートルほど続いていて、その最下部にまで落ちている袋もあった。斜面の途中で止まっているのは、そこに生えている木々に遮られてのものだ。  一旦全体像を撮影してから私はそのうちの一番近いところにある袋へと慎重に斜面を降りて行った。内容物を確認し、それも撮影するためだ。  一番近くにあったそれは少し袋が破けていて中身はすぐに確認できた。私はそれも撮影すると、一旦上に戻ってから画像をまさみさんに送付した。  中身は紙おむつだった。一瞥してみると、他の袋も中身は一緒のようだ。また、その大きさから大人用ではなく赤ちゃん用なのだと分かる。大人用ではない事にちょっとだけホッとしたが、そうは言っても紙おむつである。この様子だと他の袋も破けているだろうし、中身が散乱したりしたら、それらを一個一個回収しないといけなくなる。  
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!