雨乞い

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雨乞い

 所に戻り、まずは先ほどの不法投棄ゴミについてまさみさんに確認を取った。 「明日の朝から回収に当たって下さい。一人では大変だと思うので‥‥‥そうね、あきと君と二人で回収に行ってもらおうかしら。あきと君!」  まさみさんの席から一番遠い東原(ひがしばら)あきとさんは、不意を突かれて慌てたように顔を上げた。鼓動を少し高ぶらせながら私も振り向いてあきとさんを見た。 「あ、はい。なんでしょうか」 「ちょっとこっちに来て」  あきとさんは急いで立ち上がるとこちらへと向かってきて私の横へと並んだ。  あきとさんはこの四月から生活環境課に異動となった、ここでは新人だ。とはいえ以前は福祉課に在籍していたそうで、職員としての経歴は私よりはるかに長いし、そもそも正職員だから私とは立場が違う。  私はひそかにあきとさんに恋心を抱いていた。異動になったからという以前に元々の性格であろう、ちょっとオドオドした雰囲気の彼を可愛いななんて思っていたのだ。そんな彼が今、私の隣に立っている。私は緊張しているのを悟られないように視線をまさみさんの手元に集中させた。 「明日、これの回収をゆきこさんと二人でやって欲しいの。お願い出来るかしら」  言いながらまさみさんは私が送信した画像をあきとさんに見せた。 「あ、はい。明日は特に予定もないので大丈夫だと思います」  あきとさんはそう言うと私の方に向き直って頭を下げた。  突然こちらを向いたので、私は動揺を隠せずにまさみさんとあきとさんに交互に視線を巡らせてしまった。 「ゴミの回収は初めてなので、よろしくお願いします」 「こちらこそ、不束者ですがよろしくお願いしますっ」  不束者って何だよ、と自分にツッコミを入れていると、にやついているまさみさんの顔が横目に入った。
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