失恋坂

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「ありがとうございました」  私は近所の花屋で、適当に花束を買って、都市伝説の話題となる『失恋坂』に向かった。 『こんな住宅街の町中に、本当にあるの?』  それは正直、疑いたくなる話だった。  わざわざ、小学校の前を通り、丘を降りていく。麓の住宅街を抜けると、周りは膝下まである草だらけの畦道に変わった。  草を踏み分け進んで行く。  草原を抜けた先に、雑草ばかりの荒れ地が現れる。  右手には坂らしい痕跡を見つけた。その坂の入口辺りには、誰かが置いていったジュースの空き缶や枯れた花がある。  坂はコンクリート舗装されてはいるが、所々割れていて、その隙間からは雑草が生えていた。坂の入口には錆びれた鎖が垂れ下がっている。 『登れないの?やっぱり、都市伝説なのか』  期待とは裏腹な結果に、ショックを受けた私は、手にしていた花束を、そっと枯れた花と同じ場所に置いた。
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