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安倍晴明に呼び出されました
壱花――。
夢の中。
壱花が駄菓子屋で斑目や子狸たちと花札をやっていると、誰かが自分を呼ぶ声がした。
壱花よ――。
その声に導かれるように、壱花はいつの間にか、川にかかった石橋の前に移動していた。
橋の中程に、こちらを向いて立っている白い狩衣姿の男がいる。
男の顔には見覚えがあった。
白くつるんとした肌。
異様に整った目鼻立ち。
いつも店の入り口に立っている人、安倍晴明だった。
おかしいな?
なんでこんなところまで移動してるんだ。
持って帰らなくちゃ。
壱花は晴明を抱えて帰ろうと、橋に足を踏み入れようとした。
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