第九章・社長のイトコ⁉

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 ダメだ……。完全にターゲットが私になっている。どうしたらいいか分からずに戸惑ってしまう。するとレオンは、クスクスと笑いながら 「まぁ今日は、ただの挨拶をしたかっただけだし。これから覚悟しておいてね?」  それだけ言うと去って行く。私は、しばらく立ち尽くしていた。  これは一体何が起きてしまったのだろうか? 大変な事になってしまった。社長と田所様が警戒するのも、今さらながら頷ける。  自分で何とかしないとならないわ。社長に心配をかけたくないもの。  買い物を早く済ませると、さっさと帰宅する。  とにかく。なるべく必要以外は外出を避けて、会わないようにしなくちゃあ。  あと、防犯グッズを用意して、何をしてくるか分からないし。あぁ、こんな時に社長はホテルに泊まり込みだなんて……。  私は一人で不安で仕方がなかった。しかし夜近くになると社長から電話が。 『夏希……寂しい。添い寝しにホテルに来てくれ』  社長……。随分と早いホームシックですね? まだ一日も経っていないのに。  大変な時でも社長のマイペースさに呆れてしまう。 「だからって添い寝しに行ったらバラバラに居る意味が無いのでは? 言い出しっぺは社長ですよね?」 『だって……寂しいんだもん。ウサギは、寂しいと死んじゃうんだぞ?』  あなたは、ウサギではなくオオカミでしょーが⁉ 「まったく。そんなに寂しいのなら家に帰って来たらどうですか?」 『えーそれでは、レオンを警戒している意味が無いではないか?』  しょっちゅう添い寝に行ったら、そっちも意味が無いでしょーが⁉  思わずツッコミたくなったが、今は社長がそばに居てくれた方がありがたい。すでに私のこと知られている訳だし。 「ちなみに今日帰って来たら、もれなく夕食に鶏の唐揚げが食べられますが、どうしますか?」 『じゃあ、すぐ帰る!』  即答して電話を切られてしまった。返事早っ⁉ 呆れつつもこれで一安心だわ。  まず夜に来られても社長がそばに居てくれたら心配いらないだろうと思った。  そして数十分後には本当に早々が帰ってきた。結局、社長のホテル泊まりはすぐに終わりを遂げた。でもレオンの事は社長に話さなかった。
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