第九章・社長のイトコ⁉

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 下手に心配をさせたら会社を休むとか言いかねないので。それは避けたかったからだ。でも不安になったため恵美と香奈子には事情を話す事にした。  香奈子は心配をしてくれたが仕事があるため、恵美が時々自宅に様子を見に来てくれることに。 「ごめんねぇ~恵美。たびたび迷惑をかけて」 「いいわよ。それでは、不安になるのも仕方がないもの。私で良かったら力になるわ」  ニコッと笑顔で言ってくれた。心強い親友が居て本当に良かったと思う。だがレオンは、そんな私をあざ笑うように現れた。  それは、恵美が来ない日。私は庭で洗濯物を取り入れている時だった。 「やぁ、佐久間夏希さん」  庭越しからひょっこりと現れた。私は驚き、すぐに警戒をする。するとレオンは、クスッと笑ってきた。 「嫌だなぁ~そんなに警戒しないでよ。俺達、同志だろ?」  と言ってくる。はぁ? いつから同志になったのよ⁉ 「なっ……馬鹿な事を言わないでよ⁉ あんたと私を一緒にしないで」  何か武器になる物を探す。だけど、近くに武器になりそうな物は何も無かった。  どうしよう……こんな時に何もない。戸惑っているとリビングの方から棗の泣き声が聞こえてきた。あ、昼寝から起きちゃったわ⁉ 「いいの? 君の子供が泣いているけど」 「くっ……」  私は慌てて家の中に入っていく。そして、すぐに窓を閉めようとするが、ガシッと窓ガラスの隙間をレオンの足と手で阻止させられてしまう。 「酷いなぁ……閉めるなんて? 俺も中に入れてよ」 「馬鹿言わないで。退いて…ってば」  必死に閉めようとするが男性の力に押され気味になる。そうしたら棗が、よちよちと泣きながらこちらに向かって歩いてきた。 「ちょっ…ダメよ⁉ 棗…こっちに来たら。そこで待っていて」 「ひっく……まんま……」  必死に言うが幼い棗には、それが分からない。足元で抱っこをねだってくる。  棗に目を向けている隙にレオンは、強引に窓ガラスを開けてきた。 「キャアッ⁉」
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