1人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
今、新元号のニュースが流れていなかったか? そんなはずはない。だって元号発表が4月1日、4日後だ。なのにどうして今。あれは見間違いでは無かった。僕ははっきりとこの目で見た。新元号は「令和」である、と。
僕はSNSを開いて令和について調べてみた。しかし一件もヒットしない。
僕は未来のニュースを見た。確実に。
フッと口元には笑みが浮かべられていた。無意識のうちに僕は笑っていたのだ。それを窓の反射で初めて知った。
『この預言者がぁぁぁ!!』
今朝の田辺の叫び声が脳裏によみがえった。僕は、なれるのかもしれない。
僕しか知らない、未来のニュース。僕だけが知っている、未来のニュース。
僕はスマホでSNSを開くと、今使っている閲覧用のアカウント以外に新たなアカウントを作成した。名前は何にしよう。僕はちょっと考えてから、迷いもなく打ち込んだ。「預言者」というアカウントがそこで誕生する。
僕はとある呟きを投稿した。スマホをポケットにしまい、最寄りまでの道のりをガタンゴトンと揺られながら進んでいく。
《元号予想: 令和(れいわ)》
ちょっとした息抜きに、僕はこの道を進んでみることにした。
最初のコメントを投稿しよう!