12、正妃を怒らせてしまいました

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 これは圧力をかけられているのだ。  アンジェは表情も口調も穏やかだが、その内側から苛立ちが滲み出て、それがひしひしと伝わってくる。  つまり、側妃の分際で正妃の真似事はやめろと警告を受けているのである。  イレーナに側妃の自覚があれば、たとえ能力があったとしても、正妃より秀でてはいけない。  正妃を立てなければならないのだ。  それをイレーナは忘れて、その場でバカ正直に陛下の問いに答え、彼の力になり、政務に口を挟みすぎている。  自分でも目立っていることを危惧していたが、やはりアンジェは相当怒りが溜まっていたのだろう。 「出しゃばった真似をして申しわけございません。アンジェさまのご気分を損ねてしまったことは謝ります」  イレーナはまず、アンジェに対する謝罪をした。  しかし、そのあとすぐに自分に意見を続けた。 「ですが、私にも正義というものがございます。陛下のためになり、ひいては国のためになることであれば、私は陛下に助言をいたしたく存じます。生意気なことを申しておりますことは重々承知しております」  イレーナは深く頭を下げたまま、アンジェに訴える。 「しかし、私は民が困っている姿を見て放っておくことなどできません。これだけは譲れないのです」  アンジェは突然立ち上がり、イレーナのそばへ寄ると、おもむろにプディングを手に取る。  そして、それをイレーナの胸もとにぶちまけた。
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