1、冷徹な皇帝陛下の側妃になりました

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 カザル公国の公女イレーナはこのたびドレグラン帝国の皇帝陛下に嫁いだ。  側妃として。    実際には人質である。  カザル公国が長きにわたり友好関係を築いていた国がドレグラン帝国に敗戦。  巻き添えを食らうところだったが、ドレグラン帝国から公女を差し出せば和平を結んでやろうと半ば脅しの提案をされ、小国のカザル公国が逆らえるはずもなく。  公女イレーナはカザル公国の民を守るため、自分の意思でドレグラン帝国へ嫁ぐことにしたのだ。    ドレグラン帝国の新しい皇帝は冷酷非道と有名だ。  子を産みさえすれば、役割は果たせるだろう。  どんな酷い待遇を受けようが、持ち前の強メンタルで乗り越えるつもりだ。  持前の強メンタルで……。  イレーナは目の前の怪物を前に震え上がって固まった。  そして、うっかり口から本音がこぼれてしまう。 「こわっ……」  もちろん周囲には聞こえていないはずだ。
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