【4P】夏の日のもの想い

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もしかしたら、向日葵はその見かけとは裏腹に、本当はとても繊細で寂しがり屋だったのかもしれない。 だから、自分にはないものに憧れた。 あんな風になりたいと、一心に高い高い空の彼方を見上げた。 そして… 向日葵はいつしか地上の太陽になった。 そのことに、向日葵はまだ気付いていないかもしれないけれど、向日葵は知らないうちに夢を叶え、小さな地上の太陽になった。 今年の夏は、向日葵がたくさん咲けば良いのにな… 様子の変わった北の地に、小さな太陽がいっぱい咲いて、それを見たみんなの顔が向日葵みたいになったら良いな。 みんなの心の中にも太陽がいっぱいになったら良いな。 悲しみに沈む心を、闇に閉ざされた心を少しでも癒すことが出来ると良いな。 そうだ…私もいつか向日葵を植えよう。 私の背よりも大きくなるような昔ながらの素朴な向日葵を… 今より前向きになれたら、いつか…きっと… とりとめもなくそんなことを考えながら歩く暑い夏の日… 私はそっと振り返り、再びあの向日葵に目を遣った。 遠くからでも目立つ大きな向日葵の花が、まるで私を見送ってくれているようで… 私は、わずかに頬が緩むのを感じた。 ~Fin
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