恋路

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 俺がワンルームマンションの自室に帰宅したとき、時計は既に二十二時を回ろうとしていた。  突然のトラブル、と言うのは仕事においてままあるもので、当日中に帰宅できたのは幸いと言うべきだろう。   疲れ切った身としてはすぐにでも着替えて寝たいところだが、空腹がそれを邪魔する。  仕方なく買い置きのカップ麺を取り出し、ポットに水を注いでスイッチを入れた。  残業もそうだが、やはり車通勤というのは体にそこそこのダメージが来るのだと思わざるを得ない。 「とはいえ、電車通勤だと倍ぐらいかかるしなぁ」  うちの会社はいくつか支店がある。  何年か前の異動で移ることになった支店は、ちょっとばかり交通の便が悪いところに建っていた。  そこに通う人間のほとんどは車通勤だ。  中には電車とバスを駆使している社員もいるが、いずれも朝早くに家を出ているらしい。  俺はそれが嫌で車通勤を選んだがやはりしんどいに変わりはない。  異動願いは何度か出しているが、今のところ要望が通った気配はない。  沸かした湯をカップめんの容器に注ぎ、しばし待てば夕食の完成だ。  褒められたものではないが、この場合早いに越したこともない。  さっさと食ってさっさと寝よう。そんなこと考えながらカップ麺をすすっていた時のことだ。  その、決して分厚いとは言えない玄関ドアが激しくノックされた。   「こんな時間に誰だよ……」  ため息を俺が付くのと、ドアが勝手に開けられるのとは同時だった。  いやまだ返事してないし、と思いつつ無礼な闖入者に目を向ける。    そこに立っていたのは、高速道路の奴だった。
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