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旅立ちの朝
それは、フミマロが18歳になる誕生日のことでした。
「起きなさい、起きなさい。私の可愛いフミマロ……」
フミマロは、窓から注ぐ柔らかい日差しを浴びて目覚めました。小鳥が歌うようにさえずっている、とても気持ちのいい朝です。
「おはようございます、母様」
「おはよう、フミマロ。今日はとても大切な日。あなたが初めてお城へ行く日ですね」
そう。今日は、フミマロが勇者として旅立つ日なのです。王様からその許しを得るため、城へ向かうことになっています。
「これまで母は、あなたを勇敢な男の子として育ててきたつもりです。井戸の中へ落としたり、爆弾岩を抱えたままウサギ跳びで隣の村と100往復させたり、何もない砂漠で小さいメダルを探させたり……。心を鬼にして、さまざまな試練を課してきました。その甲斐もあり、あなたはこんなにたくましく育ってくれて……」
フミマロの母は、目から溢れんばかりに涙をためています。
その姿を横目に、フミマロはステテコパンツから旅人の服へと着替え、髪の毛をセットし、タンスからわずかなヘソクリ(150ゴールド)を取り出して冒険の旅へ出る支度を整えていきました。
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