とある地方に伝わる因習について。

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 そういった慌ただしさも多少は落ち着き、S君からの電話も頻度が減った5月の事である。  何でもその日は新入生を歓迎する会が催されたそうだ。S君もクシャクシャのスーツを着込み、先輩達と共にOB達への挨拶周りに奔走していたらしい。  こういった酒宴において、運動部にまま見られる過激な盛り上がりにあてられ、ヘトヘトになりながらも一次会は無事たけなわとなり、後は学生だけの二次会という運び。  会場である居酒屋に向かう途中、ふと、S君は違和感に囚われたそうだ。  二次会の会場へは、徒歩で歩ける距離のはず。  どうした事か、S君は車に乗せられていたそうだ。  と、私自身も忘れかけていたので、ここで改めてこれは『とある地方の大学に伝わる因習』についての端書きである事を記しておく。S君がどういった人物であるのかを書いておく事は決して蛇足ではないが、因習の成因には関わってはいない事も。
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