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先生はそのまま私の頬にふれ、唇を奪った。そっと。
おそるおそる目を開けてみると、穏やかなはずの先生の瞳に、情欲の炎が宿っていた。見つめられ、鼓動が速くなるのを感じる。
「ドア、閉めててよかった」
そういえば、私と一緒にいる時は、いつもドアを閉めていた。そんなことに今更気づく。
背中を優しくなでられ、抱きしめられて、とても安心する。
以前付き合っていた彼に抱きしめられると、なんだか居心地が悪い気がしていた。ほんの少し形の合わないジグソーパズルを、無理にはめているような違和感。でも、先生の腕の中に収まるのは、しっくりくる。
「今日はもう、片づけて、終わりにしません?」
「はい」
「ただふれるだけでは、足りなくなってしまいました」
「私も」
「明日まで、一緒に過ごしたいんですが」
「……私も」
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