バナナのこと

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バナナのこと

 人には個性があるように、食べ物にも個性があると思う。  味や形が違うから当然、という意味ではなくて、なんというか、醸し出すオーラというか、雰囲気というか、独特のパワーが食べ物にはあると思う。  それは、その食べ物の歴史だったり、産地の特徴だったり、昨日今日作られたわけではない、固定されたイメージだったり、いろいろ秘密はあると思う。  わたしにとって、「これは凄いな」と思う食べ物は、バナナだ。  バナナ!  明るい陽射し、スカッとした青空が思い浮かぶのはわたしだけか?  それを手にすると、妙に照れくさく、嬉しくなるのはわたしだけか?  皮をむいているところ、食べているところを、人にあんまり見られたくないのはわたしだけか?  かならず家にないと不安になるのはわたしだけか!?  世代毎に、アイドル的なフルーツは変わると言う。  キウイ世代、バナナ世代。  ちなみに、わたしはバナナ世代ではない。そこまでお年はいっていない。  職業柄、高齢の方と日常的に接しているが、ほんと、バナナが大好きな方が多い。  家族からの差し入れが大量のバナナだったりして、毎日提供してもしまいには皮が黒くなってしまう。  そうなると、いたむ前に早く、と思うから、なおさら一生懸命提供する。  あんまりな見た目だから、皮をむいてスライスしてお出しすると、また嬉しそうに召し上がる。  むいて食べても、フォークでつまんで食べても、なんでも構わない。バナナ大好き。  そしてこれが重要。  バナナ食べてる人を見てるわたしも、妙にハッピー。  もちろん自分が手に持って貪ってる時は、そりゃハッピー。  なんだろう、何してもハッピーなのって、すごくない?  バナナはたぶん、特別なんだ。  なんか意思を持ってるのかもしれない。  そうなったら、近い未来、みんなバナナに支配されてるかもしれない。  それくらいのパワーを、わたしは感じるのよ!
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