1人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
良かった…これで、この国は救われた…
撤退していく隣国の兵士達を見て僕がそう思った時だった。
「……え?」
めらめらと赤い炎が僕の目に映ったのだ。
それは、僕たちの住む村のあたりからだった。
撤退して行く兵士達が、腹いせに火を付けたのだ。
「ア、アニー!」
僕は命がけで駆け出した。
村に向かって…
だが、その間にも赤い炎はどんどん燃え広がって行く。
僕は、死に物狂いで走り続けた。
*
「エディ!」
村の傍には、村人たちが身を寄せ合っていた。
だけど、そこにアニーの姿はなかった。
僕はすぐさま、燃え盛る村の中に飛び込もうとした。
「エディ!何をする気だ!
村人たちは全員無事だ!」
僕は木こりのロバートさんに強い力で引き留められた。
「アニーがいないじゃないか!
アニーを助けなきゃ!」
「アニー?何を言っている?
アニーならもう何年も前に…あっ!エディ!
やめろ!エディー!」
僕は、ロバートさんの手を振り切り、燃え盛る村の中に飛びこんだ。
助けなきゃ…!アニーを助けなきゃ!
そう思ったら、炎なんて少しも怖くなかった。
***
次の日、エディの家で、人形に寄り添いながら焼け死んでいたエディの亡骸がみつかった。
「エディ…なんでこんなことに…」
村人たちは、皆、一様に涙した。
最初のコメントを投稿しよう!