【4P】人形師

1/4
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
『エディ、今日はとても良いお天気で気持ちが良いわね。』 「そうだね、何だか良い香りがするね? 何の花だろう?」 僕とアニーは、木陰に並んで座り、他愛ない会話を交わした。 僕達の住む村は、これといって何もない田舎だけど、僕は生まれ育ったこの村がけっこう好きだった。 自然に囲まれたこの村は、どこを見ても穏やかな気持ちになれるから。 僕は、人形師だ。 父も人形師だったこともあって、僕はまだ小さな子供の頃から父の仕事を見ていたせいか、自然と父と同じ職業に就いていた。 やがて、時は流れ… 父はまだ若くして亡くなり、僕はいつの間にか、父の腕を超えていた。 「あなたの作る人形には、魂までこもってるみたいね。」 「まるで本当にあの人が生き返ったみたいだわ。」 皆が、僕の作った人形を褒め称えてくれて、その噂はやがてこの国のお城にまでも届くようになっていた。 つい最近、王様から亡くなった王妃様の人形を作るように命じられ、僕は遺された王妃様の肖像画を頼りに、一心不乱に人形を作った。 その甲斐あって、とても素晴らしい人形が完成し、王様はそれを見て涙を流して喜んで下さった。 それからしばらく経ったある日… 僕の家を兵士が訪れた。 「人形職人のエディか?」 「は、はい、そうですが、何か?」 「王様のお呼びだ。私達と一緒に城へ参れ。」 「え?お城に?」 アニーは心配そうな顔で、僕をみつめた。 「大丈夫だよ、アニー…心配しないで。」 僕は、兵士たちと一緒に家を後にした。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!