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『エディ、今日はとても良いお天気で気持ちが良いわね。』
「そうだね、何だか良い香りがするね?
何の花だろう?」
僕とアニーは、木陰に並んで座り、他愛ない会話を交わした。
僕達の住む村は、これといって何もない田舎だけど、僕は生まれ育ったこの村がけっこう好きだった。
自然に囲まれたこの村は、どこを見ても穏やかな気持ちになれるから。
僕は、人形師だ。
父も人形師だったこともあって、僕はまだ小さな子供の頃から父の仕事を見ていたせいか、自然と父と同じ職業に就いていた。
やがて、時は流れ…
父はまだ若くして亡くなり、僕はいつの間にか、父の腕を超えていた。
「あなたの作る人形には、魂までこもってるみたいね。」
「まるで本当にあの人が生き返ったみたいだわ。」
皆が、僕の作った人形を褒め称えてくれて、その噂はやがてこの国のお城にまでも届くようになっていた。
つい最近、王様から亡くなった王妃様の人形を作るように命じられ、僕は遺された王妃様の肖像画を頼りに、一心不乱に人形を作った。
その甲斐あって、とても素晴らしい人形が完成し、王様はそれを見て涙を流して喜んで下さった。
それからしばらく経ったある日…
僕の家を兵士が訪れた。
「人形職人のエディか?」
「は、はい、そうですが、何か?」
「王様のお呼びだ。私達と一緒に城へ参れ。」
「え?お城に?」
アニーは心配そうな顔で、僕をみつめた。
「大丈夫だよ、アニー…心配しないで。」
僕は、兵士たちと一緒に家を後にした。
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