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「へーっくしょん!」
ひゅるると吹いた北風に、ルドルフは大きなへくしょんをしました
今夜もとても寒い夜です。
けっこうイケメンに見えるルドルフは、実は人間ではありません。
本当は、とても寒がりのトナカイなのです。
ルドルフの仕事は、クリスマスイヴとクリスマスの二日間、サンタさんを手伝って、世界中の子供達にプレゼントを届けることです。
時を超え、時空を超えて、いろんな所を駆け巡るけっこう骨の折れる仕事です。
寒いのが大の苦手のルドルフは、サンタさんの所をこっそり抜け出しては、魔法を使って人間に化け、その仕事をサボるのです。
元々、ルドルフは魔女に飼われていたトナカイだったため、いつの間にかそんな魔法を身に付けていたのでした。
「夜空は地上よりもっと寒いもんなぁ…
今年も無事に逃げ出せて、本当に良かったぁ…」
ルドルフは星の煌めく空を見上げて、独り言を言いました。
「さて、どこに行こう…
どこか温かい所はないかなぁ…?」
ルドルフは、夜空の星よりも明るくきらびやかな街の中をあてもなく歩き始めました
空からは天使の羽のように軽やかな雪が舞い降り、そこかしこを白く染め上げています。
今夜はクリスマスイヴということで、人々も心なしか晴れやかな顔をしているように見えました。
「んん……?」
そんな中、とても不機嫌そうな…それでいて悲しそうな顔をした少年をルドルフはみつけました。
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