二人の愛に理由は要らない

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二人の愛に理由は要らない

 臆病過ぎると分かっている。  それでも、タツくんと会う時、私は必ず同じことを尋ねてしまう。 「ねえ、私のこと好き?」  重たい女だと思われるかもしれない。自分でも、己のビビリっぷりに嫌気がさす。それでも口にせずにはいられないのは、それだけこの恋に真剣だからだ。  中学校の時に告白して、大学生になった今に至るまで続いている二人。けして短い付き合いでは、ない。だからだろうか、私がそう口にすると、タツくんは決まって眉間に皺を寄せて、少しだけ考えてこう答えるのだ。 「好きだよ、当たり前じゃんか」 「……そっか、ありがと」  ありがとう、という言葉の中には“ごめんなさい”も含まれている。いつも同じ言葉をおねだりしてごめんなさい。タツくんに何もしてあげられないのに、尽くして貰ってばかりで本当にごめんなさい。そして、相変わらず小心者でネガティブな自分でごめんなさい。 ――どうすれば、恋愛に自信って持てるんだろう。  彼に片思いをしていた時、胸が締め付けられるように苦しかったのを覚えている。大人しい文学少女が、サッカー部の人気者に恋をしてしまった。あまりにも部不相応だったから。  だからこそ、告白が通った時に本当にうれしくて、この苦しみからも解放されるのかと思っていたのに。  実際は、付き合い始めてからも辛い。彼が浮気をするだなんて、そんなこと思っているわけでもないのに。 ――タツくん、私のこと好きだよね?本当に好きでいてくれるんだよね?  本当は一日一回じゃなくて、何度も何度もそう問いたくなる自分がいるのだ。
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