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(馬鹿みたい…何やってんだろ、私…)
ショウウィンドウに映し出された私の姿は、まるでサーカスのピエロみたいに思えた。
街には聞き飽きたジングルベルのメロディが、うるさいくらいに鳴り響き、眩しい電飾がそれをさらに盛り上げる。
行き交う人々は、皆、晴れやかな顔をして……
(クリスチャンでもないくせに、皆、調子良いんだから…!)
クリスマスプレゼントが入っているとおぼしき大きな紙袋を持った子供…は、まぁ良いとしても人目もはばからずにべたべたするカップル…
「チッ!」
はしたなくも私は小さく舌を打った。
あぁ、やっぱり、失敗だ!
こんな日に一人で出掛けてくるなんて、絶対失敗だった!
一人で歩いてるイケメンなんてどこにもいやしない…
(いつもなら、美香とカラオケで盛りあがってたのに…)
私と美香は高校の頃からの親友だ。
タイプは違うものの、私も美香も間違っても可愛いってタイプではなく、当然モテない…
最初の頃はそんな友達があと数人いて、クリスマスはモテないグループで集まってけっこう楽しく盛りあがっていた。
そのうち、一年、二年と経つごとに、モテないグループの中にもちらほらと彼氏が出来る子が出始めた。
そうなると、その子達は自然とクリスマスは彼氏と過ごすようになる。
三年前には、ついに私と美香だけになってしまったわけなんだけど、二人で過ごすクリスマスは誰に気を遣うこともなく、意外と楽しいもので、私達は男なんかより女の友情を大切にしよう!と誓ったのが昨年のこと。
だから、今年もまた美香と二人でカラオケ大盛りあがりクリスマスパーティが出来るものと思っていた。
なのに、先月になって突然、美香に告白された。
「実はね、私、彼氏が出来たの。
だから……悪いんだけど、今度のクリスマスは彼と過ごすから……
亜由美には本当に悪いんだけどぉ…」
(なんだ、こいつ!
話し方まで急に変わってるし!
気持ち悪い!)
美香の上から目線が頭に来た私は、咄嗟に自分でも驚くようなことを口にしていた。
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