恋人同士になりました。

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だって増えたスキンシップは晃からのものが多くて、意識せざるをえない。 一方的な受け身は申し訳ないとは頭の隅にはあるが、かといってどういうことをすればいいのかなんて恋愛初心者にはまったく思い浮かばない。 (それに…晃ってば、手慣れてる?ふうだし…) 人込みで肩を引き寄せられたり、さりげなく腰に手を添えられたり軽くふれられたり…数えたらキリがないくらいにボディタッチが多いとおもう。 今までだって片思いで意識していたのに、間違えるはずがない。 それについて聞いてみたら「いままで我慢していた分、触ってる」っていうちょっと恥ずかしい回答までされた。 両思いだからもう遠慮しない、って、なんかヤバい。照れるし嬉しいしでなんか、なんか…こうこそばゆいというかムズムズする。 「もしかして嫌だったか?」 「や、そんな…ただ、ちょっと、はず、恥ずかしいというか…意識しちゃう、から」 尻切れにたどたどしく胸の内を吐露すれば、晃は一瞬目を見張って嬉し気に破顔する。 「悠馬って、ほんっとそういうとこあるよな」 「なに?」 「無自覚なんだろうけど、そういう「たらし」なとこある」 「………たらし?」 俺がぁ? そんな馬鹿な。むしろ人たらしの才能は晃の方にこそあるっていうのに。 アルファなのにちょっと抜けてる雰囲気で甘いマスクにぶっきらぼうのようで実は親切で面倒見がいい、とか…。 老若男女を問わずたらしこんで同性のアルファでさえ遠巻きだったのが最近ではお近づきになりたがっているような男が何を言っているんだか。 「ばぁか。俺のはたらしじゃなくて侮られてるっていうの。見た目も小さいしひ弱だし。晃とは違うよ。」 人込みの混雑を抜けて移動した先は人気の一切ない穴場のガゼボ。 日本風だったら東屋といってもいいけど校舎の裏手の広大な緑の端にひっそり古びた石作りの屋根と白いテーブルにベンチはガゼボだ。 周囲は見渡せるが入り口っぽいところには鉄製のアーチがあり花が咲き乱れていてなんとも乙女チック。 、
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