血の雨が降りますように

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血の雨が降りますように

どうか、血の雨が降りますように。 あたしは手を組み願う。 赤い色に染まった逆さのてるてる坊主に願うと 自分の命と引き換えに願いを叶えてくれる。 それは他人を不幸にする願いだけ。 あたしの村にはこんな都市伝説がある。 実際にやったことがある人もいるらしい。 自宅で謎の死を遂げた老人。 手に握られていたのは赤いてるてる坊主。 二、三年前の新聞の見出しにそう書いてあった。 あの老人は何を願い、死んだのか。 あたしなら クラスメイトの死を願う。 あたしの双子の妹を死に追いやったアイツらに。 アンタたちも死ねばいい。 妹と同じ苦しみを味わえばいい。 翌日、新聞に『高校で集団自殺』 と大きく載っていた。 あたしはほくそ笑む。 これで、安心して死ねる。 あたしの復讐は終わった。 『時間だよ、時間だよ』 赤い逆さてるてる坊主が不気味に笑う。 あたしは台所に向かって歩き出す。 それは自分の意思じゃない。 逆さてるてる坊主に操られているのだ。 逆さてるてる坊主に他人の死を願うと そいつらと同じ死に方で死ぬらしい。 あたしはまな板の上に置いたままの包丁で、 自分の首を傷つけた。 血が勢いよく吹き出し、クラっとなってあたしは 座り込む。 床が血溜まりをつくっていた。 わたしは横たわり、 あの世でルルに会えますように。 そう願って瞳を閉じた。 『高校生の少女、自宅で自殺』 その後、新聞に彼女のことが載りました。 白いカーテンには赤い血が染み込んでいたそうです。 それで、僕らは作られます。 そう、僕の正体は死んだ人間の血で染めた布で作られた逆さのてるてる坊主なのです。 あなたの願いは何ですか? 他人を不幸にする願いなら喜んで引き受けます。 お代はあなたの命です。 あなたは命を差し出す勇気がありますか? 〈終わり〉
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