私の若君

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   美しい少年がペルシャ絨毯の上に毅然と腰を下ろしている。    商品名は『蘭丸』  殿に尽くすように開発された小姓ロボットだ。    外部素材は特種なポリマーで、内蔵されているのは「特化型 AI」  神経脳の眼球も見事に再現されているが、残念なことに家事しか出来ない。    今も、優美な所作で洗濯物を畳んでいる。  けれども、「汎用型 AI」の購入は検討外。  自律的に思考して、判断、みずからの意思を持つAI。  そのような存在に、立場を逆転された輩を大勢知っている。  そもそも、AIに夜伽は至難。  見目麗しく従順ならそれでいい。  アナルの複雑な反応は常に、心身の状態に左右され、快楽の行き着く先は永遠に計り知れない。  だからこそ、この家の『若君』は飽きずに私を所望する。    私は「凡庸型AI」  商品名は『信長』    
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