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辿り着いたのはゴロゴロした岩の間を流れる渓流だった。サワガニたちがルドガーの姿を見て、次々と水から上がってきた。ルドガーと同じぐらいの大きさの子ガニたちだ。
みんな揃って青い甲羅と白い足をしている。
一瞬で気落ちした顔になるルドガーだったが、彼らは目を輝かせて口々に話しかけてきた。
「見かけない顔だね。どこから来たの?」
「冒険してきたの?」
「その甲羅の色、カッコイイね」
「足も素敵なオレンジだね」
「ねえねえ、僕たちと遊ぼうよ」
「……いいの?」
問い返したルドガーに、子ガニらは一斉に頷いた。
「もちろん、もちろん」
「冒険の話を聞かせてよ」
ルドガーはパッと顔を輝かせた。
仲間に連れられ沢に向かって歩み始めたルドガーは、ハッと気づいて立ち止まる。振り返った子ガニに、ポーシャとジローは大きく手を振って見せた。
「よかったね、ルドガー」
「よかったじゃねえか。うまくやれよ」
「ありがとう。ジローにいちゃんにポーシャにいちゃん」
子ガニは笑顔で大きくハサミを振り返した。
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