出会いはデジャヴの向こうに…

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俺はその朝、妙な夢で起こされた。 はっきりとは覚えていないが、何かに襲われるような夢だった。 「…う~ん…ゲームのし過ぎかな? でも、危険な相手ではなかったような…」 昨日の夜もゲームをしてから寝たので、そんな夢を見たのかと思った。 「まあ、ちょっと早いけど…」 二度寝をしようと思ったが、休みで花見がてら散歩をするつもりだったのでちょうど良かった。 「早起きは何とやらと言うし…」 朝食を後回しにして散歩に出る。 駅に向かう桜並木の街道。 道の両側には数日前に満開になったソメイヨシノが並ぶ。 その下をゆっくりと歩く。 日曜日の朝早くと言うこともあり、歩行者も車もほとんどいない。 「桜の一人占めか?」 満開の桜も風に煽られ、ちらちらと散りはじめている。 「今年はパッと咲いてパッと散るのか… それが一番、桜らしい…」 桜を見上げそんな独り言を呟く。 駅まで歩き、反対側に渡り帰ろうと思った。 その刹那、一陣の風が吹いた。 桜吹雪に目が奪われる。 前に向き直ると女性の姿が目に留まった。 「………!」 言葉が出なかった。 淡いスカイブルーのワンピース、白い肌に後ろで一纏めにした栗色の髪…。 その女性は桜吹雪舞い散る中、ゴールデンレトリーバーを連れて歩いている。 時折、上を見上げ物憂げな表情を見せた。 朝の木漏れ日を浴び、桜の花びらに彩られた女性は、この世の者とは思えないくらい美しく見えた。
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