秘め事

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自分はずっと、他所に目を向けてあの子を見ないようにしていたけれど、それは決して本意じゃなかった。今更だけど。 ずっと、人を信じて愛して裏切られるのが怖かった。こんな事、誰にも言った事はない。 だって、言ったって救われないもん。 でも…… ここで、大我に頼りながら頑張ったら、……ちょっとは強くなれるかな? 私でも、なれるかな? 「星願……」 しくしくと泣く姫子に対して、大我は連休になったら一度娘の顔を見に行こうと言ってくれた。 「だから、頑張るんだべな」 「うん……」 袋を剥いだリンゴが太陽の光を浴びて光っている。姫子はしばらく寄りかかったままでその風景に見とれていた。 私、今よりも強くなろう。 何もかも、今更だけど。 姫子は、 星願の笑った顔を思い出しては、泣いた。 とめどなく溢れる涙は、一番この世で光り輝く太陽に弾かれた。 [完]
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