【4P】ミステリー・ツアー

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「では、出発します。」 「はい、お願いします。」 このミステリー・ツアーは、車での移動だ。 しかも、客は僕一人。 僕にとってはありがたいことだけど、こういう旅行はとても珍しいのではないかと思う。 そもそも、こんな商売では儲からないのではないかと思う。 僕がそんな心配をする必要はないのだけれど… 「目的地に着いたら起こしますから、どうぞお休みになっていて下さい。」 「あ、はい。」 別に眠くはなかったけれど、運転手とはあまり話をしたくなかったから助かった。 僕は、腕を組み、目を瞑った。 こうしておけば、運転手と話す必要もない。 そうしているうちに、僕は本当に眠ってしまっていた。 「……着きましたよ。」 不意に声を掛けられ、僕は目を覚ました。 「あ、そ、そうですか。」 「では、これを…」 運転手は僕にしおりのようなものを手渡した。 ぱらぱらとそれをめくると、そこにはこのあたりの地図と行き先、そして、することが書いてあった。 「えっと…あの…」 「このしおりの通りに行動して下さい。 では、私は後でお迎えに参ります。」 僕は追い立てられるように、車から降ろされた。 どこともわからないその場所に… だが、ここがどこかなんて、僕には興味はない。そんなのはどうでも良いことだ。 僕は、しおりを開いた。 近くの寺院を見学するように書いてあった。 まさかどこかで見張られているなんてことはないだろうが、とりあえず、言われた通り、しおりに書かれていることを遂行した。 行き先の指定だけではなく、土産を買えだの、写真を撮れとも書かれていた。 何かおかしな気はしつつ、僕は、土産屋で欲しくもない小さなキーホルダーをひとつ買った。 書かれていることをやり遂げると、いつの間にか、車が僕の傍にいた。 「お疲れ様です。では、お乗りください。」 それから僕は宿に連れて行かれ、また次の日に迎えに来ると言われた。
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