友活アプリ『ニコイチ』

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「俺たち、別れよう」  夫のその言葉を聞いた時、頭が真っ白になり顔は真っ青になった。(どちらもイメージの話である)  親や会社に何て言おう?引っ越しはどうすればいい?……既に自己完結しているようなどこか清々しい顔の夫に、勝手すぎる!と呆れる気持ちはあれど、責める気はしなかった。わたしもどこかでこの結末を予測していたのだろう。「そうだよね」と頷く。 「一応、理由を聞いてもいい?」 「君のことは大切だけど……友達の感覚なんだ。どうしても女性としては愛せない」  結婚して三年目。今更それを言うのか、と思った。恋人時代からわたし達は“友達のような恋人”ではなく“恋人のような友達”だった。それを互いに承知の上で、人間としての相性は抜群に良いから、生涯のパートナーにしたのだと思っていた。しかしやはり暗黙の了解なんて不確かな物に、人生を委ねるべきでは無かったのだ。  こうしてわたしは、再び一人になった。
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